中小企業診断士における企業経営理論を学ぶ意義とは?
■企業経営理論とは
中小企業診断士の1次試験対策講座のうち「企業経営理論」は、診断士試験すべての基盤となる最重要科目で、経営戦略論、組織論、マーケティング論の3つの主領域で構成されています。
■経営学に定説・通説はない?
経営学は他の学問と比べて大きな違いが2つあります。1つ目は、経営学は成立してまだ100年ほどです。物理学がギリシャ時代からとすれば2500年なので、経営学はとても新しい学問だと言えます。2つ目は経営学にはいわゆる定説や通説がありません。数学の公式や、法律学の条文・判例のように、物事の確固たる判断基準がないのです。つまり、経営学で「こうすれば成功する」というものはありません。
世の中にあるビジネス書は「こうすれば成功する」という風潮で書いていますが、それはその企業や経営者が現時点から過去の成功体験を振り返った事例でしかありません。あるいは、ある一面的な切り口で成功を語っているだけにすぎません。経営学では様々な理論やフレームワークがありますが、それらは企業や組織を映し出すいくつかの切り口にすぎません。よって企業経営理論を勉強することは、様々な切り口やケースを知るのであって、「中小企業診断士やMBAを取ったら経営が上手くいく」とは到底言えないものです。
■中小企業診断士試験は本当に経営に役に立つのか?
中小企業診断士を勉強しても経営に役に立たないわけではありません。定説や通説はありませんが、企業や組織を映し出すいくつかの切り口を学ぶことは、自分ごとで考える土台になります。リアルな経営をしていくときに、その場その場で考え判断する必要がありますが、その考え判断する土台を提供してくれるものが経営学の学びです。
経営学は、すぐに白黒つけたい人や、知識を得たいだけの人には、グレーゾーンや例外の多い学問ですが、それだけに自分で考え、広がり持っている面白い学問と言えます。経営学全般を自分ごとで考え、そして学ぶ良い機会になっています。中小企業診断士の魅力をぜひご体感ください。